こんにちは。KENです。
今回は、夏の味覚である「とうもろこし」を取り上げます。
別の記事ではとうもろこしのかぶれ(接触性皮膚)やアレルギーについて解説しましたが、本記事ではとうもろこしの”ひげ”に期待できる効能に触れます。
一体、とうもろこしの”ひげ”にはどんな効能があるのでしょうか?
とうもろこしの”ひげ”の正体
我々がとうもころしの”ひげ”と呼ぶ部位の正体は「雌しべ」であり、この雌しべが長く伸びた状態を「絹糸(けんし)」と言います。
スーパーなどで皮付きの状態で販売されているとうもころしを購入した場合、多くの方はひげの部分を捨ててしまっているかもしれません。
しかし、このひげには健康増進を期待できる様々な効能が存在しているのです。
事実、漢方の世界ではとうもろこしのひげは「玉米須(ぎょくべいす)」と呼ばれており、これを乾燥させたものを「南蛮毛(なんばんげ)」といい、生薬として広く普及しています。
韓国ではコーン茶が有名ですが、これもとうもころし(ひげを含む)の持つ効能が国民に周知されていることが理由です。
とうもころしのひげをそのまま生で食べることはなく、ほとんどの場合、コーン茶として飲用されています。
期待できる効能(1)利尿作用
とうもころしのひげにはカリウムが含まれていて、これに利尿作用があるため、体内に溜まった過剰な水分を対外に排出する効果が期待できます。
この作用により、以下の効能も期待されているのです。
●高血圧の予防
●糖尿病の予防
●腎結石の予防
●水太りの解消
●胆石の改善
●黄疸の改善
※「https://www.kampo-sodan.com/yakuzen/yakuzen-2418」参照
期待できる効能(2)抗酸化作用
とうもころしは植物であるため、フラボノイドというポリフェノールの一種である成分が含まれています。
ポリフェノールには強い抗酸化作用があるため、細胞の老化を防ぐ効果が期待できます。
また、血管をしなやかに保つことで動脈硬化の予防や改善にも役立つことが予想されているのです。
期待できる効能(3)整腸作用
とうもころしのひげには食物繊維が含まれているため、整腸作用が期待できます。
なお、食物繊維には「水溶性(水に溶ける)」と「不溶性(水に溶けない)」の2種類が存在しており、それぞれで役割は異なりますが、いずれも整腸作用をもたらして便通を改善させます。
便を柔らかくして排便を促す効果が期待できます。
また、腸内の善玉菌を増やす役割もあり、整腸効果を高めることが期待できます。
さらに、小腸で食べ物の消化・吸収を抑える効果もあるため、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
これにより、糖尿病の予防も期待できます。
腸の蠕動運動(ぜんどう・うんどう)を活発化させ、排便を促す効果が期待できます。
また、水分を含んで膨らむ性質があり、これにより便の量を増やして便意を感じさせ易くしています。
将来的に期待される効能:アレルギー予防
現在では研究段階ですが、将来的に期待される効能として「アレルギー予防」があります。
これは東京工科大学の研究チームによって明らかにされたもので、2021年にNHKの「あさイチ」で特集されました。
この研究によれば、アトピー性皮膚炎を発症しやすいマウスを2匹用意し、一方にはとうもころしのひげを食べさせ、もう一方には普通の餌を与えたところ、前者のマウスはアトピー性皮膚炎を発症しなかったといいます。
とうもろこしのひげがアレルギー予防に寄与するのは「インターロイキン12」というサイトカインが大きく関係しているようです。
このインターロイキン12はインターロイキン4というサイトカインを抑制する働きを示しますが、実は、このインターロイキン4こそがアレルギーを増悪させる物質なのです。
こうしたメカニズムが存在することで、とうもろこしのひげを摂取したマウスにはアトピー性皮膚炎が発症しなかったというわけです。
この研究結果から、人間にも同様の効能が発揮されることが大きく期待されています。
しかし、これはマウスを対象とした研究であり、現時点において人間にも同様の効能を示すのかは不明です。
また、とうもろこしのひげはインターロイキン12を生成するところまで判明していますが、どのようなメカニズムでインターロイキン12が生成されるのかは解明されていないのが現状です。
とうもろこしのひげによるアレルギー予防は発展途上の研究ではあるものの、これが実用化されれば、アレルギー予防の分野で大きな活躍を見せてくれるに違いありません。
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